転職経験者に学ぶ!職種別転職体験談

結婚や妊娠出産を転機に、自分自身の社会的立場やどう仕事をしたいかが大きく変わりました。

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Nさん / 43歳 / 女性 / 神奈川県
転職前:看護師(病棟・IRCCU(集中治療室))/年収600万円
転職後:看護師 (外来部門・救急部門)/年収100万円

転職成功

-転職前の企業での業務内容を詳しく教えてください。
看護師として一般病棟で勤務していました。主な業務は患者様のお世話や医師の診療の補助です。循環器内科呼吸器内科病棟でしたので、心臓カテーテル検査や治療の術後管理や、ペースメーカー手術の術後ケア、化学療法や終末期の看護などがこの病棟での特徴的な業務でした。病棟勤務を経て、 IRCCUへ異動がありました。IRCCUでは、術後の急性期看護や重症心不全呼吸不全など重症患者様の多い場所でした。人工呼吸器や透析、スワンガンツカテーテルやIABPなどのME機器の患者管理など、一般病棟ではほとんど経験したことがないことも多々ありました。どちらの部署も、日勤と月6回程の夜勤業務があり、不規則な勤務でした。新人研修やOJTを受け、勉強会にも参加しながら看護師業務を学んでいき、経験年数が上がっていくと、看護管理、新人教育や病院内委員会活動にも関わるようになっていきました。
-転職を考えたきっかけを教えてください。
大学病院勤務時、勤務外での自己学習が常に必要でした。心電図や化学療法の勉強をしたり、院外講習会に参加したりして、スキルアップを目指していました。知識を得ていくことは楽しいし、仕事にとてもやりがいを感じており、充実していると思っていました。一方で、委員会や会議で休日に出勤することも多く、かなり不規則な生活で、体調管理やリフレッシュがうまく出来なくなる時もありました。体調を崩し、入院した経験もあり、徐々にワークライフバランスを考えるようになりました。そして結婚を機に委員会活動や役割などから退き、夜勤や休日出勤を減らして家族との時間を増やしたいと希望を出しました。しかし看護スタッフの多くが若く単身者であったこともあり、それが叶わないまま1年以上が経ち、転職を具体的に考えるようになりました。
-この業務だけはもっと続けたかったという業務があれば教えてください。
大学病院での高度医療に携わること、それを常に勉強し続けることは、私にとって大きなやりがいでしたので、続けていきたいと思っていました。
-転職活動はどのように行いましたか?
妊娠初期の体調不良が続き入院と安静が必要となり退職したので、産後しばらく経つまでは次の就職については具体的には考えませんでした。2人目を出産して一年が経過した頃、また看護師の仕事がしたい、という気持ちと、3年のブランクや小さな子どもを預けながらまた仕事ができるだろうか、という不安を持っていました。この気持ちや自分の希望を相談したい、と思い、転職サイト(ナース専科)を検索して、コーディネーターの方と電話で話したところ、いくつか見学のセッティングをしていただくことになりました。
-転職後の会社に入社を決めた理由を教えてください。
一番の理由は、保育施設が併設されていること、パートタイムで週3日程度のシフトであることでした。以前勤めていた大学病院は、週5回のパートタイムのみとの返答をもらい、断念しました。もちろん私自身は働きたい気持ちが強かったので、子供達が保育園に慣れていったり、大きくなって幼稚園に行くようになったら、仕事時間を増やしていきたいという希望も伝えました。それを病院側(その時面接していただいたのは看護部長さんだったと思います)が受け入れて下さり、私自身も総合病院で多くの診療科があるところで働きたいという希望でもあったので、民間総合病院に再就職を決めました。
-転職後の会社での業務内容を詳しく教えてください。
初めは外来部門でのパートタイム勤務、つまり日中の外来診療の補助や採血・検査などの業務でした。外来看護師の業務は、それまでにやってきた病棟看護師とは大きく違いました。外来患者様がとても多く、一人一人に関わる時間は長くても数分で、検査説明、採血や点滴、CTやMRIの検査介助などが主な仕事内容でした。しばらくすると上司より、前の大学病院での経験を活かし救急外来での勤務をしてはどうかと勧められ、救急搬送の初療や血管造影の介助業務などに携わるようになりました。二次救急の救急センターでしたが、交通事故や外傷、脳血管疾患や心筋梗塞など、重症や中等症患者が搬送されてきたり、夜間の小児科や内科外科の多くの診療科があったため、かなり多忙な職場でした。
勤務形態は、パートタイムで月2回の夜勤を含むシフトを組んでいただいていました。
-入社前のイメージと違っていたところはどんなところですか?
以前の職場である大学病院の病棟と、転職後の民間の総合病院の外来で働く看護師の年齢層や働くことへの意識の違いは歴然でした。前者は20代の独身の看護師がほとんどなのに対し、後者では家庭や子育てと仕事を両立している30代以上の方が多かったです。定時で仕事を終え、休日出勤や勉強会はほとんどなく、そのギャップに戸惑いました。外来という環境で、一人の患者様と時間をかけて深く関わったりすることもなく、以前のような看護計画やカンファレンスのやり方もまるで違ったので、外来看護の難しさも感じました。救急外来へ移った後は、そのギャップは自然と軽減していました。忙しさと、救急医療という自分にとって初めて経験するフィールドでの挑戦でしたので、看護師一年目をもう一度やり直すつもりで臨みました。
-仕事の難しさ、辛さを感じた点はありますか?またそれはどのように克服しましたか?
新卒で大学病院に入職して数年は、とにかく仕事に打ち込んでいました。自分ができないことや知らないことへの不安がありましたし、常に進んでいく医療や、重くなっていく役割や責任、そういったものとの戦いでした。残業もして、仕事後や休みの日も勉強して、定期的に実施される院内勉強会に積極的に参加しました。悩みもたくさんありましたが、同じ境遇の同僚達に助けられながら、一緒に乗り越えていました。それが結婚して家族を持った時、「時間の使い方」「エネルギーの配分」が一番の課題になりました。仕事に全力投球して、時間も全て仕事に合わせて・・・、というそれまでのスタイルでやっていると、家族で過ごせる時間がほとんど取れないのです。仕事も目標も持っていたいけど、家族との時間も大事。仕事への熱量を半分くらいにしてもいいかな、と思い始めました。夫とよく話し合い、妊娠したら転職しよう、という結論に達しました。再就職してから、その悩みは完全に克服できたわけではありません。それでも、仕事100%から、仕事とプライベートを50%ずつへ、自分自身の意識を変えたことで、それまでON とOFFをうまく切り替えられていなかったことに気づき、時間的な制約だけでなく、ストレスやプレッシャーから解放されたと感じました。また職場の理解や協力、家族のサポートがあって、なんとかやっていけていたのだと思います。転職後、自分で公開講座を受講したり、ACLSやBLS等の救急処置の資格取得をしたりし、無理のない範囲で、できる時に、自分で必要だと思うもの選んで勉強するスタイルに変えていきました。
-仕事の中でやりがいを感じた(ている)部分はどこですか?
患者様のお世話は、自分にとっての一番のやりがいです。些細なことでも気付き、看護の力で苦痛を和らげたり不安を軽減できること。患者さんやご家族と関わって、それが出来た!と感じた時、この仕事をやっていて良かった、と思います。その点においては、大学病院のI C Uの重症患者様でも、外来での患者様でも、同じやりがいを感じていました。
-転職は成功でしたか?失敗でしたか?
成功だったと思います。
-なぜそのように感じましたか?
私は、妊娠などの体の変化や小さな子どもを持ちながら大学病院のIRCCUで若い世代と肩を並べて働くことは、本当に難しいことだと感じたからです。妊娠や子育てとの両立だけに限ったことではなく、単純に少しずつ歳をとっていくことや、自分自身の体調を崩したり、家族の問題を抱えた時など、人それぞれの事情を持っていることは、ごく当たり前のことだと思います。年齢や年月の経過とともに常に変化していくものなので、その時の状況に応じて働き方や職場を変えていくことはとても重要なことだと思います。私は、仕事を好きでいること、そのために学び続けることが自分にとって大事だと感じています。転職することで、その時その年齢その状況の自分にあった職場が見つかれば、きっと長い間仕事とともに生きていけます。特に看護職は、就職先の病院や施設の規模、診療科、ポジションなどにより様々な業務内容があります。その分だけ、業務内容や働き方も無数あることが魅力だと思います。お金を稼ぎたいときは給与の良い仕事を選び、仕事のウェイトを減らしたいときは短期バイトに替えてもいい。そうやって何歳になっても、挑戦していきたいと思います。
-この仕事の個人的な楽しみ方を教えてください。
家庭の事情で現在海外暮らしているため、今は看護師業を休んでいます。日本から離れてから特に、自分の看護師経験が生活にとても役に立っています。怪我や病気になっても、日本にいるときほど気軽に病院にかかれない時、知識が役に立ちます。また病院勤務で育ったのでしょうか、動じない精神が自然に身についており、海外でも図太く生活できています。自己紹介で、『日本で看護師をやってたよ』というと、多くの人が自分の病気や怪我の経験談をあれこれ話してくれます。年齢・性別・人種問わず、誰もが健康でいたいし、身体のことにはみんな関心を持っているんだな、と改めて実感しています。
-この転職からどのようなことを学びましたか?
結婚や妊娠出産を転機に、自分自身の社会的立場やどう仕事をしたいかが大きく変わりました。様々な変化の中で、同じ環境で同じように働けなくなることは、ごく当然なことだということを学びました。またその変化に応じて、働き方を変えていくこともまた、ごく自然なことだと思います。自分の持っている情報だけでなく、インターネットの情報量や、転職エージェントの力を借りて、自分に合ったスタイルを模索していくことが、今後も長く好きな仕事を続けていける鍵だと思いました。

今、またコロナという新たな社会の変化に直面して、多くの人が働き方や物事への考え方を再確認しているように思います。転職は人生において大きな転機ではありますが、ラッキーチャンスでもあると捉えて、前向きに考えていきたいと思いました。
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