転職経験者に学ぶ!職種別転職体験談

精神科病棟とは、飾らない患者さんたちが社会の問題をわかりやすく示してくれる空間かもしれない。そう思えるほど、”人間”を学べるお仕事です。

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Kさん / 45歳 / 女性 / 奈良県
転職前:脳神経外科病棟看護師
転職後:精神科慢性期閉鎖病棟看護師

転職成功

-転職前の企業での業務内容を詳しく教えてください。
脳外科病棟に入院されている患者さんの看護が主な業務内容でした。
外科病棟ならではの手術管理並びに慢性期の神経難病の患者さんの人工呼吸器や輸液・経管栄養などの安全管理、自力では瞬き以外はできない筋疾患の患者さんの日常生活援助などを3交替勤務で行っていました。
-転職を考えたきっかけを教えてください。
きっかけは、すでに転職をしていた元同期の話を聞いたことでした。
彼女は国立の脳外科病院勤務から美容外科クリニックに移っており、そこでの好待遇の福利厚生やワークライフバランスについての上層部の考え方などを教えてもらいました。

その当時、私が勤めている職場での有休休暇取得は年間で平均0.5日でした。
緊急入院対応も多かったので勤務時間外の勤務は当たり前で、残業代だけでも一般のOLさんのお給料くらいありました。
そのため、同年代の人に比べてお給料は貰っていたかもしれません。
しかし休日は布団から出られず、どうにか外出できても行先はマッサージや整体など、たまった疲労の分メンテナンスにお金がかかるようになりました。
また、身の回りのことに手が回らなくなり、やかんで煮だしていたお茶もいつしかペットボトルを買うようになり、自炊の回数も減り、気が付けば外食ばかりの毎日になっていきました。
しだいに多くのことをお金をかけて外注するようになりました(洗濯・掃除・買い物など)。
そのため、貯金は全然できませんでした。しかし新卒で働き始めて七年目の自分には、この日々をどうにか乗り切るしか選択肢がないように思い込んでいました。

そんな中、体調を崩したり、本格的に休職するスタッフがチラホラ出てくるようになりました。うつや適応障害、他にも脳梗塞や結核で入院せざるをえなくなり退職する人もいました。近い将来の自分を見ているようでした。
そんな時、先述した元同期の話を聞き、自分の職場を客観的にみることができるようになったのでした。よくよく考え、健康を重視しワークライフバランスを大切にしたいと、転職を決意しました。
-この業務だけはもっと続けたかったという業務があれば教えてください。
 ”自分がいちばん勉強になる”からと、年に一回の頻度で勉強会を開催しました。
座学ではなく、「人工呼吸器管理のまちがいさがし」や「近道本能あるある」など参加型の勉強会を仲間と企画して実施するのは、リスクマネジメントの礎だと感じたことをよく憶えています。これに関しては、以降の看護師人生の軸になっています。
-転職後の会社に入社を決めた理由を教えてください。
院内保育園に子どもを預けることができたからです(公立・私立の保育園はどこも空きがありませんでした)。
また面接の場面で、「精神科配属だと有給休暇をとりやすく、残業もありません」との説明を受け、それなら子育てと両立できると考え、入職を希望しました。
-転職後の会社での業務内容を詳しく教えてください。
精神科病棟に入院されている患者さんの看護が主な業務内容でした。
体温測定・ミーティング・服薬管理・排便管理・散歩やリハビリの付き添いなどが毎日の日課でした。
時に、外出先から戻られた患者さんのボディチェックやかばんのチェックなどの業務もありました。
-入社前のイメージと違っていたところはどんなところですか?
当初は「自分に精神科看護が務まるのだろうか」と不安でいっぱいでした。そこに追い打ちをかけるように、就職して二日目には患者さんから暴力を受けました。
やはり、言語化しづらいショックを受けました。今ならわかりますが、背景には新人の私が距離感を見誤ったことがあると思います。
その後、その患者さんとは上司も交えてふりかえりを重ね、暴力を謝っても下さり、時間はかかりましたが信頼関係を築く事が出来ました。
気付くと、私は精神科看護がものすごくたのしくなっていました。そこが、入社前のイメージと全然違うところでした。
-仕事の難しさ、辛さを感じた点はありますか?またそれはどのように克服しましたか?
患者さんの他害行為に対するアセスメントは大変難しかったです。
理由もなく暴力をふるうように見えた患者さんも何らかのサインを送っているのだとわかるようになったのは、スタッフ間の情報共有・患者さんとの信頼関係構築・他の患者さんからの告発や相談、なにより日薬もあったように思います。
なんにせよ、積極的な情報収集にとどまらず、自分が話しかけてもらいやすいようなオープンな空気を纏うよう、常にこころがけました。
-仕事の中でやりがいを感じた部分はどこですか?
退院を控えた患者さんに同行して、アパートの内覧やゴミ捨て場や捨て方の確認、気分転換になる散歩ルートの確認、スーパーの買い物同行やそれらのふりかえりなど、地域で生活していく上で小さな練習を患者さんとともに実践していくプロセスは非常にやりがいがありました。
病棟では見ることのできない患者さんの表情をみることができると、宝物をもらったように感じたものでしたよ。
急性期の患者さんはおられなかったので、何事においてもふりかえりの時間を多く持てたところがそのやりがいを支えていたのかもしれません。
-転職は成功でしたか?失敗でしたか?
成功でした。
-なぜそのように感じましたか?
私自身が、精神科病棟での仕事やそこで働く同僚のことを好きだったからです。
精神科未経験からくる不安や患者さんからの暴力・セクシャルハラスメントなど、尻込みするようなこともなかった訳ではありません。
しかし、精神科病棟とは、飾らない人たちが社会の問題をわかりやすく示してくれる空間かもしれないな~と感じ始めてからは、そこの一歯車となって患者さんの退院支援をすることにやりがいを感じるようになりました。
そこで、私としてはこの転職は成功だと、考えました。
-この仕事の個人的な楽しみ方を教えてください。
二つあります。
一つ目は、怒りは二次感情であることを念頭に患者さんの看護することです。
そうすることで、より正直な一次感情に着目できるようになり、人間関係の調和を実現しやすくなります。これはどのコミュニティにおいても変わらないので、人生を生きやすくするためのひとつの技術だと思います。
二つ目は、患者さんに相談された時に絶対に正論で返さないことです。
ついつい言いそうになるところをあえて言いません。そうすることでふしぎと関係性は安定していき、おのずと患者さんも安定していきます。
結果、自分も安定していきます。こういった循環をしている感覚を得られると、とても楽しくなると思いますよ。
-この転職からどのようなことを学びましたか?
”咲きやすい場所で咲く”ことの重要性を学びました。そのためには、時には転職も辞さず行動にうつすこと。そして自己分析を欠かさないことが大切だと思います。
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