転職経験者に学ぶ!職種別転職体験談

転職によって自身の希望や適性が浮き彫りに。初めて明確な願望を見つめることが出来ました。

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Kさん / 50歳 / 女性 / 熊本県
転職前:療育医療センターの看護師/年収400万円
転職後:高齢者向け住宅の看護師/年収350万円

転職成功

-転職前の企業での業務内容を詳しく教えてください。
入所されている重症心身障害児(者)の看護や介護、療育活動の支援をしていました。
入所されている方はほとんどが生まれたときに、もしくは乳児・幼児・小児の時に病気や事故によって脳に障害を負い、ほとんどの日常生活の行動に支障をきたした方たちでした。
入所されている一人一人の医療的ケアも動ける範囲も様々ですが、それに合わせて支援したり、日々の介護を行ったり、医療的ケアを行ったりします。
また日々の活動の中で療育(発達支援)も行われるのですが、安全に行われるように一緒に参加します。
医師が常駐しているので診察もあり、医師の指示を受け医療活動を行います。
医療ケアとしては胃瘻造設者のケア、気管切開者のケア、呼吸器使用者のケア、検査のための採血などの検体採取。その他諸々…が含まれます。
-転職を考えたきっかけを教えてください。
腰痛と通勤時間です。
ほとんどの入所者は自力移動が難しいため、職員が車椅子に移乗するという介助を行います。一病棟の入所者は約30名から50名になるため、一日の業務のうちで移動の介助は何度も繰り返されます。
私は以前スポーツを熱心にしていたため身体の丈夫さには自信があったのですが、10年を経て少しずつ痛めてしまっていたようです。年齢を重ね「これ以上は難しいかな…」と思ってしまいました。
また通勤時間は往復で3時間弱かかっていたのですが、子どもも小さく夫にも負担が大きいのではと気になっていました。そこへ腰痛の悪化が加わり転職を決意しました。
-この業務だけはもっと続けたかったという業務があれば教えてください。
入所者とのコミュニケーションです。
重症心身障害児(者)は精神遅滞と身体の障害が重度の方々です。外見的に年配であっても心の中が小児であられる方も多く、介助させていただいている私たちの方が癒されます。
とても優しく、純真です。そしてユーモアに溢れた方も多くいらっしゃいます。
しかしながら入所者は脳の障害を負っていらっしゃる方ばかりですので、自ら発信するコミュニケーションがとても難しい方ばかりです。YES・NOの意思表示すらままならない方ばかりです。けれど暫く時間を重ねていくと、ほんの少しの眼球の動きや口角の上げ下げ、聞き取りにくい「あー」という言葉の中にその方の意思表示がこもっていることが理解できてきます。
どうしても一日を通してこちらからの声掛けや働きかけが多くなるのですが、それでも入所者とのコミュニケーションのほとんどを楽しく、笑いながら過ごせました。
-転職活動はどのように行いましたか?
雇用保険を利用したので、転職活動のほとんどをハローワークで行いました。
それに、転職エージェントは数社(ナース人材バンク・ナースジョブ・看護のお仕事)の話を繰り返し聞いていくと…重なっているところが多いです。
それに加えて転職エージェントの営業さんの頻回の連絡や、営業さんの意見が転職活動に影響を与えるのも抵抗がありました。
目新しい転職先を探そうと思うとハローワークは非常に良かったです。
-転職後の会社に入社を決めた理由を教えてください。
自宅に近く、お給料の差が少しでも少なく、日勤が可能であったためです。
転職前の通勤時間が長かった為、多くの時間を通勤に費やしてしまったという後悔が強く、最初から自宅の近くを探していました。加えて生活もあるので、お給料にあまり差が出ないところ。
そして日勤が可能なところ。
それらを条件に探し、転職先を見つけました。
以前は職場が遠いことから通勤時間がかかり、自動車通勤であったために給油の回数もバカになりませんでした。もちろん交通費は支給されますが、失われた時間に対しての支給はないじゃないか!と思っていました。
お給料はとても良いとされる職場でした。子育て中だし、給与が大きく下がるのも痛い。何しろ一年間は前職場での給与の計算から税金は引かれるのです。とんでもない…。
そういうことで月給差が大きくないというのも魅力でした。
そして最後に一番大きな理由。
「子育て中」であるための日勤希望。
子どもが生まれてすぐからフルタイムで働いていたため、朝にいなかったり寝るときにいなかったりする母親に対して「寂しいな」と思ってくれていたようです。物心ついた時から「明日はにっちん(日勤)なの?」と聞くようになり、その答えに一喜一憂するようになりました。
-転職後の会社での業務内容を詳しく教えてください。
色々な事業者が同一会社内にありましたが、私の配属はサービス付高齢者向け住宅、業務内容は入居されている高齢者の日常生活の支援・介護・看護です。
食事時間の食堂への案内・誘導から安全な食事提供・食事環境の提供。
健康状態のチェック、医療的ケアの必要な方は処置を行います。
通院される方でご家族の同行の無い方は介護車両を運転し付き添いもします。
月に一回は提携医の診察があるので、診察の補助を行います。
各個人の内服薬を預かり管理をします。
体調不良者に対しては提携医に相談し、指示を仰ぎ実行します。採血はしませんでしたが、点滴を実施することはあります。
またお風呂の介助を行うこともあります。
医療的ケアはぐっと減って、介護色の強い職場だと感じます。医療的なことを実施する以外は介護職の方たちと同じように働きます。
-入社前のイメージと違っていたところはどんなところですか?
若い社員さんたちが多く、活気があるということです。
会社の上司も若く、とても気さくな雰囲気でした。
もっと堅苦しいイメージを持っていましたが、色々な問題にも柔軟に取り組んでいました。
一番意外だったのが、社員のライフスタイルに合わせて「産休」や「育児休暇」、その他にも働き方の変更に合わせて事業所間の異動など様々に対応しているところでした。
その為、結婚し出産を数回体験しても勤め続けている社員さんが多くいらっしゃいました。
私の勤務した事業所はとてもスタッフが気さくな事業所でした。いじめなどなく、入ったばかりでも気づいた点など発言しやすい雰囲気で、とても居心地が良い事業所です。
これもイメージとはずいぶん違いました。
-仕事の難しさ、辛さを感じた点はありますか?またそれはどのように克服しましたか?
きっと、人それぞれだと思いますが、私の場合は認知症の方への対応でした。
認知症と一言で言っても、こんなにもあるものだろうかと思うことばかりでした。
記憶障害だけなら教えてもらい対応することが出来ましたが、認知症によって暴力性が増したり、性格自体が変わってしまったり…そういったことに対応するのがとても難しいと感じました。
同僚に相談すると中には一歩離れて距離を置いて人間関係を築くことも効果的であるとアドバイスを受けましたが、私にはそれがなかなか出来ず、実はいまだに克服していません。
また高齢者の方々なので体調の変化が目まぐるしく、本当に命にかかわることなのかそうでないのかの判断が非常に難しいと感じました。ほんの少しのことが実は命にかかわるときもありました。戸惑いましたが、それは、目の前こと一つ一つを看護師の視点をもって対応する事。近い将来的に起こりうる危険も含めて考え、密に提携医と相談して決めていくことにしました。
-仕事の中でやりがいを感じた(ている)部分はどこですか?
入居されている方とのコミュニケーションです。
高齢の方々はみんなユーモアに溢れて、相応の認知症の方が多い中にもその方々の人間性や性格が見られ個人差があります。
一人の方をもってしても一言では言い表せない人間の奥深さを感じます。
年齢を重ねて大概のことは体験された方々の笑顔は可愛く美しく、魅力的であると感じます。
欠点や長所を含めた色々な形の個性が一人の人となりを形成していることを強く感じます。
そんな方たちの「生きる」というお手伝いができるのは楽しいな。と感じています。
-転職は成功でしたか?失敗でしたか?
成功であるといえます。
しかしある意味失敗なのかもしれません。
-なぜそのように感じましたか?
転職したこの職場で、良い職場の人間関係はこうであるといいな。ということに気づけました。
いじめではなくその人の個性を認めながら、突き放さず一緒にチームでお仕事をすること。これがすでに雰囲気として職場に根付いています。良い上司と同僚に恵まれ、職場としては申し分ありません。
ただ、転職を通して本当に自分のやりたい仕事はこれではないことに気づいてしまいました。
素晴らしい職場であるのでかえって辞めることが出来ません。
-この仕事の個人的な楽しみ方を教えてください。
サービス付高齢者向け住宅はその方々の暮らすお家に、備え付けられている家具のごとくサービスが備えられている場所だと思いました。私たちは家族のごとく入居者の介助をし、心安らぐ環境を提供することだと思います。
必然的に入居者との関係も近くなるし、愚痴を聞いたりすることもあります。その愚痴も入居者それぞれで個性があります。
入居者の一人ひとりの個性に魅力を感じることができ、甘えたり甘えられたりが楽しめる方にはたまらないと思います。
-この転職からどのようなことを学びましたか?
働くことにとって職場の人間関係や職場の雰囲気・環境は重要であるのだと思いました。
働きながらも居心地がいい職場は楽しくお仕事が出来ます。
一日のほとんどの活動を過ごす場所ですから、当然ではあります。
また、転職によって自分の見えなかった希望や願望、適性が浮き彫りになるということも学びました。
私の場合は、転職をして初めて「やはり重症心身障害児看護がやりたい」という明確な願望を見つめることが出来ました。
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