-転職前の企業での業務内容を詳しく教えてください。

女性閉鎖病棟での患者様の日常生活のケア（食事、排泄、清潔など）と入院患者の受け入れや病棟リーダー業務を行っていました。

-転職を考えたきっかけを教えてください。

精神科の患者様は症状を訴えることが得意ではありません。日常生活のほんの些細な様子の変化からそれを読み取らなければなりませんでした。（例えば、便秘でお腹が苦しい、辛いという症状はいつもよりそわそわして落ち着かない、精神的に興奮してしまうといった形で現れる。）
看護師になりたての自分にはまだまだ観察力が足りないと感じていたため、その他の病棟でも経験を積まなければ一人前の看護師にはなれないと思ったことがきっかけで転職しました。

-この業務だけはもっと続けたかったという業務があれば教えてください。

日頃精神を病んでいる患者様に自分がかかわることで、「あなたに話を聞いてもらえて良かった。」と笑顔で言ってもらえたときは達成感を感じました。

-転職活動はどのように行いましたか？

転職を全く考えていない頃、外部の研修に行った帰り道で転職エージェント（カンゴワークス）の広告を手渡しされました。使う機会があるなんてその時は思いもしませんでしたが、看護師になって2年目の夏に思い切ってその広告にあった電話番号にかけて会員登録をしました。それからは希望する病院などをアドバイザーへ相談し、見学から就職まであっという間に決まりました。

-転職後の会社に入社を決めた理由を教えてください。

転職後の病院は医療・福祉の大きなグループ病院でしたので院内研修が充実していました。初めての転職活動と一人暮らしで気持ちが高揚していて１件目に見学したところで決めました。できたばかりの病院でしたので人間関係で悩むことが少ないだろうという理由と看護師として様々な経験が積めると思い入職を決めました。

-転職後の会社での業務内容を詳しく教えてください。

整形外科病棟の療養中のケア（食事、排泄、清潔など）入院患者の受け入れ、手術前後の看護、病院連携室の職員と協力し退院後に向けた支援（退院後の自宅環境の調整、不安がないか聞き取り）を行っていました。

-入社前のイメージと違っていたところはどんなところですか？

入院患者の受け入れを昼夜問わず行っており整形外科病棟でしたが、脳外科や泌尿器や消化器外科など様々な患者様が入院されていました。平日は毎日手術をして件数を多くこなし急性期から回復期までの患者様のケアに追われ息つく暇もないほど目まぐるしく働いていました。
　夜間に緊急で入院されたある患者様の話です。受け入れ当初はとても激しい痛がり方をしていたのでよほど重傷かと思いきや、翌朝『朝食はいりません。』と歩いて帰って行かれました。病院をホテルと勘違いしているようで唖然としました。ちなみに後日談ですがその方は入院費を踏み倒しておりました。あの時のやるせない気持ちは今でも忘れられません。

-仕事の難しさ、辛さを感じた点はありますか？またそれはどのように克服しましたか？

入院患者様がひっきりなしに来られるので夜勤での体の負担が大きかったです。また、精神科以外の科は初めてでしたので自己学習に努めました。看護師としての知識や技術がまだまだ未熟であった私には現場のスピード感についていけずミスをしないか常に不安でした。『看護師なのにこんな簡単なことも分からないで働いているの？』と厳しい指摘を受けたこともありましたが、おおむね人間関係は良好でしたので分からないことはすぐに相談できる環境でした。

-仕事の中でやりがいを感じた（ている）部分はどこですか？

骨折などけがで入院された患者様が手術によってみるみる術創部が治って動けるようになっていく過程をみているとやりがいや楽しさを感じることができました。また、回診で医師への処置介助がうまくできたときはとてもうれしかったです。
　患者様が「退院できたら〇〇をしたいな。みんなのおかげでまたいつもの生活に戻れます。」と前向きに話してくださった時は看護師として頑張ってきて良かったと思いました。

-転職は成功でしたか？失敗でしたか？

失敗

-なぜそのように感じましたか？

マンパワー不足などから想像以上の多忙で５か月で退職してしまいました。
病院の転職が初めてでしたので、もういくつか病院を見学して回ってみれば長く勤められる職場に出会えたのではないかと思います。

-この仕事の個人的な楽しみ方を教えてください。

他者理解がとても大切な職業なので例えばとんでもなくわがままな人に対しても『どうしてこういう行動をとるのか、何か理由があるのか』と様々な目線で考えられるようになります。それは物事の本質を見極めるのに大切なことですし自身の人生経験が豊かになります。映画やドラマをみても自分とは違う価値観に触れることで仕事にも活かせるので単なる趣味にとどまらないお得感があります。

-この転職からどのようなことを学びましたか？

整形外科の急性期看護のやりがいを学びました。怪我をして入院治療をし家に帰ってからの生活が少しでも早く、楽になるようチーム医療で支えている現場で働くことができ、充実していました。勤務期間は短かったですが、自分には急性期が向いているという気づきもありました。また、立ち上げてすぐの病院は多忙で負担が大きい側面があることも分かったので慎重に職場は選ばないといけないなと思いました。
　さらに、精神科から他の科に転職するのは勇気がいることでしたが、患者様の話を聞いて受容し共感すること、不安に寄り添うという姿勢はどこの科でも必要であったとわかりました。自分の看護師としての経験に決して無駄はなかったと思います。