訪問看護師に成年後見人を依頼することは可能？専門家が解説
訪問看護師に成年後見人を依頼することは可能？専門家が解説
この記事では、精神疾患と身体の難病を抱え、将来に不安を抱える43歳女性の方からのご質問「訪問看護師に成年後見人を依頼することは可能ですか？」について、キャリア支援を専門とする転職コンサルタントの視点から、詳細に解説します。
成年後見制度は、判断能力が低下した方の権利を守り、財産管理や身上監護をサポートするための重要な制度です。しかし、誰を成年後見人として選ぶか、財産の扱いなど、様々な疑問が生じることも少なくありません。この記事では、成年後見制度の基本から、訪問看護師に成年後見人を依頼する際の注意点、財産の扱い、そして将来への備えについて、具体的なアドバイスを提供します。ご自身の状況に照らし合わせながら、ぜひ参考にしてください。
質問：
ご質問ありがとうございます。ご自身の将来や財産について、様々な不安を抱えていらっしゃる状況、お察しいたします。成年後見制度や財産管理について、一緒に考えていきましょう。
成年後見制度の基本
成年後見制度は、認知症や精神疾患などにより判断能力が低下した方の権利を保護し、生活を支援するための制度です。大きく分けて、法定後見と任意後見の2つの制度があります。
- 法定後見：判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3つの類型があります。家庭裁判所が、本人の判断能力の程度に応じて、後見人等を選任します。
- 任意後見：本人が元気なうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人となる人（任意後見人）と契約を結んでおく制度です。
成年後見人は、本人の生活、療養看護、財産管理に関する事務を行います。具体的には、預貯金の管理、不動産の管理、介護サービスの契約、医療行為への同意などを行います。成年後見人は、本人のために最善の利益を考慮して職務を遂行する義務があります。
訪問看護師に成年後見人を依頼できるか？
結論から言うと、訪問看護師に成年後見人を依頼することは、可能です。ただし、いくつかの注意点があります。
成年後見人には、特別な資格は必要ありません。未成年者や、成年被後見人、破産者などでなければ、誰でもなることができます。しかし、成年後見人には、本人の財産を適切に管理し、身上監護を行うという重い責任があります。そのため、信頼できる人物を選ぶことが重要です。
訪問看護師は、本人の生活を間近で支え、信頼関係を築いていることが多いです。そのため、成年後見人として適任である可能性は十分にあります。しかし、以下の点を考慮する必要があります。
- 利益相反の可能性：訪問看護師が、本人の財産を管理する中で、個人的な利益を得るようなことがあってはなりません。例えば、不必要なサービスを勧めて、報酬を得るようなことは、利益相反にあたります。
- 専門性：成年後見人には、財産管理に関する知識や、法律に関する知識も求められます。訪問看護師が、これらの知識を十分に持っているかどうかを確認する必要があります。
- 継続性：成年後見人は、長期間にわたって本人の支援を行います。訪問看護師が、今後も長期間にわたって訪問看護を継続できるのか、また、成年後見人としての職務を継続できるのかを確認する必要があります。
これらの点を踏まえた上で、訪問看護師との間で十分に話し合い、信頼関係を築き、成年後見人としての役割を担えるかどうかを慎重に判断する必要があります。
財産の譲渡について
ご質問の中で、「入院などの保証人になってもらう代わりに、財産（1500万程度だと思いますが）を譲りたい」という点について、注意が必要です。
成年後見人は、本人の財産を管理する権限はありますが、本人の財産を自由に処分することはできません。成年後見人が、本人の財産を譲渡するためには、家庭裁判所の許可が必要となります。また、本人の財産を、成年後見人自身に譲渡することは、原則として認められません。
もし、訪問看護師に財産を譲りたいのであれば、遺言を作成する必要があります。遺言があれば、本人の死後、財産を特定の人物に譲ることができます。ただし、遺言には、法律上の要件があり、無効になる可能性もありますので、専門家（弁護士など）に相談して、適切な方法で作成する必要があります。
また、入院などの保証人になってもらうことと、財産の譲渡を直接結びつけることは、避けるべきです。保証人としての役割と、財産の譲渡は、それぞれ別の問題として考えるべきです。
親族との関係について
ご質問者様は、親族との関係が疎遠であるとのことですが、これは成年後見制度を利用する上で、重要なポイントとなります。
成年後見制度では、親族が後見人等になることも可能です。しかし、親族との関係が良好でない場合、後見人等としての役割を十分に果たせない可能性があります。また、親族間で、後見人等の選任を巡って、トラブルになることもあります。
もし、親族との関係が疎遠である場合、第三者（弁護士、司法書士、社会福祉士など）に成年後見人を依頼することも検討できます。第三者は、専門的な知識と経験を持ち、客観的な立場で本人の支援を行うことができます。
将来への備え
ご自身の将来について、様々な不安を抱えているとのことですが、将来への備えとして、以下の点を検討することをおすすめします。
- 任意後見契約：判断能力が低下する前に、信頼できる人（訪問看護師など）と任意後見契約を結んでおくことで、将来の不安を軽減することができます。
- 遺言書の作成：ご自身の財産を、誰にどのように相続させるかを決めておくことで、ご自身の意思を反映させることができます。
- 生前贈与：生前に、特定の人物に財産を贈与することも可能です。ただし、贈与税などの税金がかかる場合がありますので、専門家（税理士など）に相談する必要があります。
- 福祉サービスの利用：障害福祉サービスや介護保険サービスなど、様々な福祉サービスを利用することで、生活の質を向上させることができます。
- 相談窓口の活用：地域包括支援センターや、弁護士、司法書士などの専門家に相談することで、様々な問題に対するアドバイスを受けることができます。
これらの対策を講じることで、将来への不安を軽減し、安心して生活を送ることができます。
まとめ
訪問看護師に成年後見人を依頼することは可能ですが、いくつかの注意点があります。利益相反の可能性、専門性、継続性などを考慮し、信頼できる人物であるかどうかを慎重に判断する必要があります。財産の譲渡については、遺言を作成する必要があります。また、将来への備えとして、任意後見契約、遺言書の作成、福祉サービスの利用などを検討しましょう。ご自身の状況に合わせて、専門家（弁護士、司法書士、社会福祉士など）に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
成年後見制度や、ご自身の将来について、ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。
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